春雷 12

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 ゆっくりとした時間を過ごした後、一緒にバスルームにへと向かっていく。
 前から昔みたいに一緒に入りたいと思ってたけど、いくら仲が良くても、やっぱり高校生の男同士が旅行でもないのに風呂に入るなんてありえないよな……って普通に思う。
 だから今までは我慢していた、コレも実行しよう! と決めて、結構二人共、楽しみにしていた。
 両親も、俺達が酒を飲んでみたり、ハメを外して遊ぶだろうと分かってるだろうけど、まさか一緒に風呂入るのも計画してたとは考えてもいないと思う。
 バレたら本当に驚くだろうなと笑いながら、一緒に服を脱いでバスルームに入っていった。




 葵と抱き合う様になって随分経つけど、まだ最後までやった事はない。
 まだ葵もちょっと怖がってるからな……と思いながら、久しぶりに目にする、何も隠す物が無い彼の裸身を、バスタブの中からジッと見詰めた。
 昔から俺の方が体格は良かったけど、今では幼い頃以上に差がついてしまっている。
 自分よりも華奢で小柄な葵が可愛く思えて、髪を洗っている彼が気付いていないのを良い事に、色んな所を眺めていく。
 無駄な肉の付いていない細い身体は、やっぱりすごく綺麗だと思うし、つい触りたくなってしまう。
 葵は小さな頃から、やたらと抱き心地が良いからなぁ……と思い出していると、髪を洗い終わって見詰められているのに気付いた彼が、顔を顰めて睨んできた。


「……佑輔、あんまりジロジロ見るなって! 恥ずかしいからさ」
「今更だろうが。それに俺も裸だし、葵と同じじゃねぇか」
「もう……佑輔って、ホントにこういう時は強引だよな。絶対に俺よかエッチだしさ」
 呆れた表情で溜息混じりに呟いた葵が、そのまま身体を洗い始めた。
 バスタブから腕を伸ばして手伝ってあげつつ、ちょっと違う所を触ってみたりしながら、ぎゃあぎゃあと賑やかな葵をからかって遊んでみる。
 「変なトコ、触るな!」とか大きな声で怒ってくるけど、そのまま続きを催促してくる葵も、案外楽しんでいるんだろう。
 ゲラゲラと笑って大騒ぎしながら、何とか身体を洗い終えた葵の姿を、暖かなお湯の中で待ち構えて、背中からギュッと強く抱き締めた。


「佑輔、まだ大丈夫? のぼせてない?」
「平気だ。途中で半分上がったりしていたからな。もう少し葵も暖まってから、一緒に上がろう」
 そう言いながら首筋にキスを落とすと、葵は素直に頷いてくれた。
 彼を腕の中に抱き締めるだけで気分が落ち着いてくるけど、それはきっと、葵も同じ様に感じている。
 数分前までの大騒ぎが嘘みたいに黙り込んで、二人でゆっくりとバスタブに浸りながら、時々優しいキスを交わして、また当分は味わえない一時を充分に満喫していった。






 バスルームから上がって身体を拭き、そのまま裸で縺れあいながら、真っ直ぐにベッドにへと直行していく。
 楽しそうに笑いながらベッドに倒れ込んだ葵に覆い被さり、背中に腕を廻してくる彼にキスを落とした。
 見慣れたシーツの上で、風呂上りの一糸纏わぬ素肌を晒している葵の身体に、掌を滑らせていく。


 さらさらと心地好い肌触りで、少し火照ったままの熱い裸身が、一気に欲情を煽ってくる。
 家の中に二人だけしかいない開放感もあるし、少しだけ飲んだお酒の酔いも、まだ残っているのかもしれない。
 いつになく積極的な葵と深いキスを交わしながら、猛り始めている彼の昂りを掌で握り込んだ。
 普段は恥ずかしそうに声を抑えている葵も、今日は素直に甘い啼き声を上げて、自分から先を急かしてくる。
 だから、今日はきっと大丈夫だろう……と考えながら、胸元に押し当てていた唇をずらし、握りこんでいた昂りの方にへと近付いていった。
「――――あ、佑輔……やだっ」
 蜜を溢す昂りを咥えた瞬間、ビクリと身を震わせた葵が、無意識に声を上げた。
 予想通りの可愛らしい反応に口元を緩めながら、葵のそんな言葉には耳を貸さず、口に含んだ葵のモノにゆっくりと舌を絡ませていく。
 初めての唇を使った愛撫に葵の身体が甘く震えて、口の中にある昂りも、ますます熱を帯びてくる。
 あっと言う間に絶頂を迎えて、白濁の蜜を吐き出した葵のモノを握り込んだまま、荒い息を繰り返す彼の口元に、そっと軽くキスを落とした。


「……佑輔のばか、俺だけ先にイッちゃったし……」
「そうしようと思っていたからな。気持ち好かっただろう」
「うん。初めてだけど、手でするのとは全然違うんだな……佑輔のもする?」
「俺のは次の時でいい……葵、コッチは怖いか?」
 そう耳元で囁きながら、身体をしっかりと抱き締めていた掌を滑らせ、二人が繋がる部分に蜜で濡れた指先を添わせた。
 一瞬だけ、ビクリと身を強張らせた葵は、直ぐに身体の力を抜いて、胸元から顔を上げた。
「大丈夫……今日なら平気だと思う。俺も佑輔と最後までしたいって思う」
「絶対に痛くしないから大丈夫だ。何も怖がらなくていい。葵が『嫌だ』って、少しでも思えば止めにするから」
 ジッと見詰めてくる葵にそう話しかけると、嬉しそうに頬を緩めた彼は、しっかりと頷いてくれた。
 葵は何も言ってこなかったけど、きっと彼も、今日はそういう日になると考えていたんだと思う。
 抱き合ったまま沢山キスして葵を安心させながら、先に達した彼の蜜を絡めた指を、そっと彼の深部に押し入れていった。




 彼に負担をかけたくないから、本当に長い時間をかけて、葵も気持ち好く感じる部分を探していく。
 なかなかそれが発見出来ず、ちょっと休んだ方が良いかな……と思い始めた瞬間、腕の中の葵がビクッと震えた。
「――――やっ……そこ、ダメ……っ」
「ココなのか……ダメじゃないだろう、葵? 最初は怖いだろうけど、直ぐに気持ち好くなるから」
 ようやく見つけた場所にホッとしながら、恥ずかしそうに頬を染める葵にキスを落とした。
 そのポイントを指先が掠める度に、彼は可愛い啼き声を聞かせてくれる。
 ずっと力の無かった葵の昂りも猛り始めてきて、それに妙に安心しながら、もう片方の掌で勃ち上がったモノにも愛撫を与え続けていった。


「……んっ……佑輔……も、いいから……」
 また猛ったモノから蜜を溢し始め、淫らに腰を揺らめかす葵が、甘い声で誘ってくる。
 ギュッとシーツを握り締めて、大きく喘ぎながら身を捩らせる葵の姿を、ゴクリと喉を鳴らして喰い入る様にジッと見詰めた。
 葵が感じてる姿なんて、もうすっかり見慣れたと思っていたのに、それは全然違っていた。
 普段とは全く違う淫靡な姿に息を荒げながら、もう弾けそうに猛りきった硬いモノを、ゆっくりとその深部に沈めていった。




 昂りに絡み付いて蠢く内襞の心地好さもあるし、淫らな欲情を駆り立てられているのも確かにある。
 でも今はそれ以上に、『葵と繋がっている』という事実だけで、もう達してしまいそうな快感を感じていた。
 少しずつ深くなっていく繋がりを見詰めながら、握り込んでいる葵の昂りにも、絶え間無く愛撫を与えていく。
 彼が快感を覚える度に、ギュッと強く締め付けてくる深部でさえ、本当に愛おしくてしょうがなかった。


「……痛くないか、葵」
「ん、平気……すごく気持ち好い。全然怖くなかった」
 全てを埋めて問いかけると、葵は上気した頬で笑ってくれた。
 快感で甘く蕩けた表情なのに、その口調だけが普段の葵そのままで、何故だかやけに安心してしまった。
「そうか、良かった……葵、好きだ。まだちゃんと言ってなかったな」
「うん、俺も。佑輔が好き……だから、すごく嬉しい」
 深く身体を繋げ、視線をしっかりと合わせたまま、自分の気持ちを伝え合う。
 もう後戻り出来ない気持ちを捧げあい、またきつく抱き合ってキスを交わした。


 触れ合って抱き合う温もりだけが、何もかもを忘れさせて癒してくれる。
 胸を痛める原因になってる互いの姿を求め合って、出口の無い迷路の中に座り込んでいるのに、俺達は心の底から『幸せだ』って感じていた。
 いくら大人びて見えたとしても、実際の俺はスーパーで缶チューハイを買うのが精一杯の、背伸びしたガキでしかない。
 だから今はこうして無我夢中で抱き締めるだけで、葵の不安を取り除いてやれそうになかった。
 でもいつの日か、絶対に葵を安心させてやる――――
 それを心に誓いながら、腕の中にある葵と深く繋がったまま、沢山の誓いのキスを交わしていた。






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2009/7/20  yuuki yasuhara  All rights reserved.