LovelyBaby 04
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森崎の家に遊びに行く様になって、もう一ヶ月が過ぎようとしている。
土曜だったり、日曜だったり……それは互いの都合でバラバラだったけど、週に一度は必ず顔を会わせていた。
メールは日に一回は、やり取りしてるし、会う時は朝から夜までだから、随分と二人の距離も縮まって、昔と変わらない位に仲良くなってきている。
だから余計にそう感じるんだろうけど、最初の頃には無かった不満が少しだけ出てきた。
彼が高校生だった頃と比べて、俺がかなり幼く見えるせいかもしれないけど、何となく、いつまでも子供扱いされている様な気がする。
優しくして貰ってるのは嬉しく思うけど、帰りも家の前まで送ってくれたり、買い物をした時も持ってくれたり……その辺りが嬉しいんだけど、ちょっとだけスッキリしない。
あの頃、森崎と付き合っていた姉さんと同じ歳になったのに、彼はきっと、そんな目では見ていない気がする。
彼も大人になったから、そういう対象の年齢は上がってるのかもしれない。でもそんな事を言っていたら、永遠に彼との差は縮まらないんじゃないか?……って、そんな焦りを感じていた。
初めて土日連続で遊ぶ事になり、泊まりにきた彼の部屋の中、一人でそんな事を漠然と考えている。
交代でお風呂に入った彼が使っている、シャワーの音をぼんやりと聞きながら、色んな事が頭を次々に過ぎっていく。
彼に「素直で可愛い」って言われるのは、少し気恥ずかしいけど本当に嬉しく思っている。
そんな彼の気持ちを裏切りたくはないけど、ほんのちょっとだけ、嘘を吐く事にした。
やっぱり罪悪感は残っているけど、こうでもしないと、彼の気持ちは絶対に変わってくれないと思う。
大好きな彼に、嘘なんて吐きたくない。だから、これは少しだけ言い方を変えてるだけなんだ……って、そう自分に言い聞かせながら、彼が此処に戻ってくるのを、落ち着かない気持ちで待ち侘びていた。
「……おい。何を言ってるんだ、奈宜?」
就寝前の穏やかな一時、奈宜が唐突に言い出した話の内容に、思わず動揺しながら言葉を返す。
一瞬、その意味が分からなかった位に突拍子のない事だというのに、彼は少し苛立った様子で、顔を顰めながらジッと見詰めてきた。
「だからさ、俺はもう高校生だし。森崎さんが姉さんと付き合ってた時と同じなんだからさ。もう子供じゃないから大丈夫」
「いや、それは分かるが……だからって、お前がソッチを経験する必要はないだろう? それに、そうやって覚える事じゃねぇ。少し落ち着け」
「だって、言葉で聞いても分かんないし。実際に自分で体験した方が理解しやすいだろ。それに皆、彼氏いたりして知ってるからさ。女の子の方が色々分かってんのに、俺がモタモタしてたらカッコ悪いし。だからちゃんと覚えときたいんだってば」
そう言いながら寄り添ってくる奈宜の身体を、抗う術もなく抱きとめてしまった。
突然「抱いてくれ」と言い出した彼は、その理由を「女の子から馬鹿にされるのが嫌だから」だと言っていた。その理由となる部分は分かるものの、それがどうして、奈宜が俺に抱かれる方になってしまうのかが、全くもって理解出来ない。
そもそも男と女の身体は全く違うし、抱かれる方を経験したからといって、抱く方が上手くなるとは思えない。
だから、そう言って説き伏せなければ……と、頭の中では分かっているのに、反射的に抱き締めてしまった奈宜の身体を、どうしても引き剥がす事が出来なかった。
彼が幼い頃、小さな腕で頼りなく縋りついていた胸元に、成長した彼の肢体が柔らかく密着してくる。背中に廻された奈宜の細い腕に、きつく抱き締められた瞬間、背筋にゾクリと震えが走った。
吐息がかかる程に近付いている、彼の柔らかそうな唇から、視線を逸らす事が出来ない。
一瞬感じた戸惑いよりも、奈宜を手に入れたいと言う情欲の方が、もう遥かに上回っていた。
唇が触れ合っただけでビクリと震えた彼の身体を抱き締め、強引に膝の上に抱え込んだ。パジャマの裾から入り込んだ掌に気を取られ、微かに緩んだ奈宜の口元に舌を捩じ込み、好き勝手に貪っていく。
誘ってきたのは奈宜の方ではあるけど、それを無下に断れない想いを、彼に再会した瞬間から胸の奥に秘かに隠し持っていた。
息が乱れ始めた奈宜の身体を抱き上げ、ベッドにへと運んでいく。
横たえた華奢な肢体に覆い被さり、ほんのりと淡く染まっている頬に、そっと軽くキスを落とした。
「……本当に良いのか? 奈宜。俺は男だぞ」
「ん、大丈夫。だって、俺が言い出したんだからさ」
「そうか……辛くなったら我慢せずにちゃんと言えよ。途中でも気にしなくていい」
本当にそう言われても、途中で止められる自信はない。それでも、彼にそう告げてから、細い首筋に顔を埋めた。
唇で愛撫を与えながら服を脱ぎ捨て、そのまま、奈宜の身体を覆う服も剥ぎ取った。
現れた胸の小さな突起を舌で弄び、細い腰のくびれに掌を這わせていく。
無駄な肉など何処にもない奈宜の華奢な肢体は、本当に綺麗で艶かしい。
甘い啼き声を上げながら身を捩る彼の姿に、腰の奥が疼いてくるのを感じながら、最後に残った下着に手をかけ、彼の全てを目前に曝け出した。
「……あ、……やだっ……」
ジッと見詰める視線に気付いたのか、恥ずかしそうに足を閉じて、腰を捩らせた奈宜の細い太腿の間から、もう弾けそうに昂っているモノが顔を覗かせている。
その可愛らしい姿に頬を緩めながら、柔らかな腿に手をかけ、また正面を向かせてその部分をジッと見詰めた。
「恥ずかしがらなくてもいい。気持ち好かったんだろう?」
「うん、すごく……でも、やっぱりちょっと恥ずかしいな……」
「最初のうちだけだ。直ぐに慣れる。それにお前だけじゃねぇよ」
彼に負けない位に硬く勃ち上がっている自分のモノを自覚しながら、足を開かせた奈宜の内腿に唇を滑らせていく。
時折、ビクリと震える太腿を抱え込んだまま、蜜を溢して愛撫を待ち侘びる昂りを、そっと口に咥え込んだ。
「……っつ……あ……」
初めて感じる敏感な部分への愛撫に、奈宜の身体が面白い位に跳ね上がった。その身体を強引に押さえつけ、可愛らしく猛ったモノに舌を絡めて抜き上げていく。
与える愛撫に素直な反応を示し、シーツをギュッと握り締めて甘く喘ぐ奈宜の姿が、本当に愛おしくて堪らない。
彼はこういう事自体が初めてなんだから、もっと時間をかけた方が……と、そう分かっていても、艶やかな姿を腕の中に抱き締めてしまうと、もう我慢なんて出来る筈がなかった。
奈宜の身体に覆い被さりキスを落とすと、目に入ってきたローションを使って、彼の深部を解していく。
違和感に顔を顰めながらも、腕を廻してギュッとしがみついてくる身体を片手で抱き返して、彼が怯えないよう、沢山のキスを落としていた。
眦に涙を浮かべ、無言で腕に力を込めて抱きついてくる彼は、きっと本当は怖がっているんだと思う。
それでも、止めて欲しいとは言わない彼の気持ちに応えて、少しずつ彼の深部を暴いていった。
「奈宜、辛かったら無理はしない。身体に障るからな」
「……ん、大丈夫。ホントに心配しなくていいから」
愛撫に蕩けている頬を緩め、そう言って笑う奈宜の深部から指を引き抜き、猛ったモノを押し当てる。
くぐもった呻き声を噛み殺し、背中に軽く爪を立てて痛みを堪える彼の身体を抱き締めながら、ゆっくりと時間をかけて、奈宜の奥深くにへと昂りを埋めていった。
全てを埋めて頭を撫でてやると、きつく閉じていた目を開けた奈宜の眦から、涙が一粒流れていった。
短く息を吐きながらジッと見詰めてくる、彼の唇にキスを落として、ゆったりと微笑みかけた。
「……痛いか? 奈宜」
「今は平気……途中まで、ちょっとだけ痛かったけど」
「ちょっとじゃないだろう。無理するな。だが、しばらくすれば馴染んでくる。もう大丈夫だ」
そう教えてやると、彼は安心した様子で頬を緩め、いつもの笑顔でコクリと頷いてくれた。
そんな彼の姿に胸を高鳴らせながら、またきつく抱き締めてやった。
彼に「泊まりに来い」と、そう少々強引に誘った俺は、自分でも気付かない胸の奥で、こうなる事を望んでいたのかもしれない。
シーツに拡がる少し長めの柔らかな茶髪や、初めての行為に頬を染めて、淫らな啼き声をあげる彼の姿を、腕の中に抱きしめてみたいと、きっとそう思っていた。
埋めている昂りを、ゆっくりと動かし始める。また短く息を吐いて、ギュッと抱きついてくる彼を温もりを感じながら、深部に埋めたモノに絡みついてくる内襞の蠢きに、またドクリと猛ったモノが熱を増した。
「……っあ……やっ、……」
細い足を両肩に抱え上げられ、激しく突き上げられる動きに身を任せていた奈宜が、自分の昂りを握り締め、ゆっくりと弄り始めた。
甘く啼きながらその行為を続ける奈宜の手元を、ゴクリと喉を鳴らし、喰い入る様に見詰め続ける。
猛ったモノに深部を激しく擦られ、もどかしい快感を感じているのかもしれない。
蕩けた表情を浮かべて自分の昂りを愛撫する奈宜の姿に、彼が一人きりの部屋で、密やかに自慰をしている様子を思い浮かべてしまう。
それをこっそりと覗いている様な……そんな劣情を感じて、激しく彼の深部を突き上げていく。
普段の幼い雰囲気とは一変した、奈宜の艶かしい姿態に欲情を刺激されて、無我夢中で彼を貪り、快感を求め合った。
「……あ、……将、兄ぃ……」
そう名前を呼んで喘いだ奈宜の身体がブルッと震え、勃ち上がったモノを抜き上げていた自分の掌に、白濁の蜜を勢い良く吐き出していく。
達した瞬間、ギュッと締め付け、甘く蠢いて同じ解放を促してくる彼の深部に、抑えきれない喘ぎ声を上げながら欲望を迸らせていった。
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